「どうぞ、お入りください。」
男性二人を部屋に入れるには、ちょっと散らかっていますが、非常時ですし、警察官なので気になさらないでしょう。
テーブルにA3生成り色の用紙を出され、今日の日付、氏名、生年月日、続柄(本人)を書くように指示されました。
印鑑も必要なようでしたので、玄関に置いてあるのを持ってきましたが、被害届作成の時に、指紋を押したため、指紋でと言われました。
黒のスタンプですが、墨みたいなのに、左人差し指をつけて押しました。
警察で指紋を残したくない方は、常に印鑑を持ち歩くとよいと思います。
私は、何かあった時のために、いつも鞄に入れてあるのですが、この時はありませんでした。
「これから採取する指紋は、車から採取された指紋の照合のために使用します。照合後は破棄しますので、他のことでは使用しません。」
パトカー内で、指紋を押すときにも、同じような説明を受けましたが、そんな訳はないと思います。
警察小説では、他のことで採取した指紋から、犯人が判明したのが出て参ります。
何か悪いことをする予定もありませんので、別に構いません。
左手の親指から採取されました。
30代前半の警察官から、採取方法を教えていただきましたが、渦巻きになっている部分だけではなく、指の横も取ると伺いました。
力を入れないようにして、紙に親指の横をつけて回し、指全体の指紋を取るようでした。
白い手袋をされた20代後半の警察官が、私の左側に座られ、私の親指にベージュ色の板を擦りつけました。
爪のある面以外を物凄く念入りに、擦りつけています。
その後、私の親指の右側面を用紙につけ、上から軽く押し、回すようにして、人差し指側までの指紋を採られました。
採取した指紋を20代後半の警察官が見てから、30代前半の警察官へ見せておられました。
「きれいに採ることができませんでしたので、もう一度、お願いできますか。」
「はい。」
再び、ベージュ色の板を親指に擦りつけられました。
前回は、線で仕切られた場所にしましたが、今回は欄外にしましたが、上手く取れなかったようです。
「ハンドクリームは、ありますか?」
「あります。」
「少し塗っていただいて、もう一度、お願いします。」
「はい。」
手にハンドクリームを塗って、また同じことをしました。
用紙に、油で光っている私の指紋が確認できました。
20代前半の警察官が、30代前半の警察官へ見せると、うなずいておられました。
「次は、人差し指をお願いします。」
「はい。」
後、9回もするのかぁ。
とても時間がかかるので、仕事は休もうと思いました。
指紋採り 犯人逮捕 つながるか 指紋残さず 怨みを残し
患者の歯 歯科医のために あるのかと 削られた歯が 抗議している