Uさんが、パンフレットを私に差し出しました。
A4の16頁あるカラー印刷されたもので、表紙には『だれもが暮らしやすい地域づくりのために』と書かれていました。
漢字には、全てふりがながふってあります。
知的障害者にも、読みやすいようになっているのだと思いました。
パンフレット内容を説明してくださいました。
「地域づくり委員会とは、障がいのある者が困っていることについて、だれでも相談できる窓口です。
例えば、車いすでスロープがないため、お店が利用できなかった場合、ご相談を受けますと、地域づくり委員会がお店の方とお話しします。
お店にスロープをつけていただいて、車いすの方も利用することができるようになります。
差別や暮らしづらさを解消して、誰もが暮らしやすい地域にするため、全道14カ所にあります。」
パンフレットには、聴覚障害者の例も載っていました。
「ここに載っていますが、口の動きで言葉を理解しているのに、お願いしてもマスクを外してもらえないことは、たまにあります。
病院へ行って、聴覚障害者ですと事前に伝えているのに、先生はマスクをしたまま説明されたので、マスクをしているとわからないので、筆談してくださいとお願いしてもしてくれず、しつこく言うと、仕方なさそうにマスクを外されて、下を向いたままボソボソ話されました。
わからないので、簡単でよいので筆談してくださいと言っても、ボソボソ説明されて、困っていたら、看護師さんが何か言ってくださって、ようやく筆談してくださいました。」
「うん。うん!」
私は、少し驚きました。
推進員の方が、身を乗り出して聞き入っていたからです。
こういうのが聞きたかった! というような態度に思えました。
「こういうことは、よくありますので、気にするかしないかの問題です。市役所でも、嫌な目にあったことがあります。あまりにも酷いときは、言いますが、仕方がないと思っています。」
「いえ! よくありませんよ! ね?」
推進員の方は、同意を求めるように、Uさんの方を向き、Uさんはうなずいていました。
「イヤだなとは思いますが、一々気にしていたら大変ですので、なるべく気にしないようにしています。」
「そういうのは、よくありません!」
推進員の方は、怒ったようにそう言いました。