仕事が終わって、歯科へ向かいました。
歯科へ行くのは、本当に怖くて嫌でしたが、今回で終わりだと思うと嬉しいです。
歯科の建物が見えると、やはり行きたくないと思いました。
受付で診察券と保険証、それから作成したお手紙を渡しました。
待合室のテレビを見ました。
決められた時間内に、美味しそうな料理が出来上がりました。
放送されている内容がわかるのは、気持ちに余裕があるからでしょうか?
診察室へ続くドアから、衛生士さんが私に合図してくださいました。
私は、うなずいて、衛生士さんに挨拶をしてから、奥の診察室へ向かいました。
一番奥の診察室は、個室になっています。
診察の椅子に座り、準備してくださった紙コップで口をゆすぎました。
そのまま待っていると、先生が来られました。
「こんにちは。よろしくお願いします。
「こんにちは。どうですか?」
「まだ、しみますので、しみ止めをお願いします。」
「まだ、しみますか。」
先生は、私が持ってきたお手紙を読みました。
「今日で、最後ですか?」
「はい。お世話になりました。」
「そうですか……。しみ止めを塗るのですね。」
「はい。お願いします。」
「最後なら、レーザー治療も試してみませんか?」
「はい。効くでしょうか?」
「してみなければわかりません。1回では効きませんので、何回か続ける必要があります。」
「1回では、効かないのですね。」
「最後ですから、レーザー治療をしてみましょう。」
「はい。お願いします。」
「上の前歯ですね。」
「はい。ここからここまでです。」
「わかりました。」
私は、しみる歯を指で示しました。
衛生士さんが、縦長の機械を持って来られました。
「椅子を倒します。」
「はい。」
先生と衛生士さんが、眼鏡タイプのゴーグルをかけました。
私の目に、タオルがかけられました。
てっきり、私もゴーグルで目を保護するとばかり思っていました。
レーザーの光が目に入ったら、大変なことになるのではないかと心配になりました。
ライトがつけられたようで、目の前が明るくなりました。
そして、私のアゴに軽く手がかけられましたので、口を開けました。
治療中、いつもは目をつぶらないのですが、念のためにつぶりました。
ほとんど、何も感じないのですが、何となく温かさを感じました。
アゴの下を押されるようにされたので、口を閉じました。
少し経ってから、アゴを引くようにされたため、口を開けました。
口をずっと開けていると、疲れますので、休ませてくださったのです。
こういうところは、勝手に私の歯を削った歯科では、一切ありませんでしたので、一息つけます。
上唇をめくられるようにされました。
表側の歯茎に、レーザーを当てているのだと思います。
場所を移動して、何回か繰り返されました。
アゴの下を押すようにされたため、口を閉じました。
目にかけられていたタオルが、取り除けられましたので、目を開けました。
先生が言いました。
「レーザー治療は、終わりました。何回か続けなくては、効きませんが、今回で治療は終了です。」
「はい。ありがとうございました。」
寝たような状態でしたので、私は起き上がって、お礼を言いました。
「後は、しみ止めをつけます。」
「はい。」
「では。」
「はい。ありがとうございます。」
私は体をひねるようにして、先生の背中を見送りました。