はははのはのおはなし

私の歯を勝手に削ったのは、逮捕されて無罪になった歯科医ではありませんが、無罪になったニュース記事を引用したところ刑事告訴され、刑事さんから取り調べを受けました。その記事は地方法務局を通じて、1年以上前に見られないようにされておりますが、その歯科医は私に対して、非常に強い処罰意志と逮捕を望んでおられるとのことです。

勝手に歯を削られたのは、マスクをしていると何を言われてもわからないから。

『しみ止めをつけます。しみる歯を教えてください。』

「ここから、ここまでの歯の裏側です。」

 

私は、上の前歯6本を指で差しました。

 

『わかりました。眼鏡を外して、台へ置いてください。』

「眼鏡がないとメモを見せてくださってもわかりませんので、持っています。」

 

歯科衛生士さんが、少し笑いました。

 

「椅子を倒します。」

「はい。」

 

椅子が倒れました。

ピンセットで挟んだ綿を見せられましたので、口を開けました。

 

「失礼します。」

 

唇と歯肉の間に脱脂綿を詰められて、しみ止めをつけていただきました。

 

『しばらく、そのままでお願いします。』

 

メモ内容に私がうなずくと、衛生士さんも笑顔で、うなずいてくれました。

その後、歯科衛生士さんが来られましたので、口を開けると、水が出る機械で、脱脂綿を濡らしてから、取り除いてくださいました。

 

『椅子を起こします。口をゆすいでください。』

「はい。」

 

私が口をゆすぐと、衛生士さんが、先生を呼びに行ってくださいました。

 

「……。」

 

先生が何かおしゃっていますが、マスクをしているため、聴覚障害者の私にはわかりません。

横で衛生士さんが、書いてくださいました。

 

『何か、気になったことや、伝えたいことはありますか?』

「いえ。特にありません。しみ止めも丁寧につけていただきました。」

『次回は、前歯の詰め物を取り替えます。』

「はい。よろしくお願いします。ありがとうございました。」

 

先生に頭を下げて、見送りました。

衛生士さんが、エプロンを外してくださいました。

 

「一々、書くのが大変でしたでしょう? 面倒なことをさせてしまいました。」

「いえ。」

「また、よろしくお願いします。」

「はい。お大事になさってください。」

「ありがとうございました。」

 

衛生士さんに頭を下げて、診察室から出ました。

待合室で待っていると、受付の方が、私に向かって頭を下げました。

領収書を見せられましたので、代金を払いました。

すると、メモを見せられました。

 

『3月1日、16:30』

「何曜日ですか? 水曜日ですね。お願いします。」

 

近くにあったカレンダーで、曜日の確認をしました。

診察券を受け取り、帰宅しました。