2017年2月16日、木曜日。
仕事が終わってから、急いで帰宅して、歯を磨きました。
予約の30分前の午後4時には、歯科医院へ着きました。
待合室には、患者さんが一人いました。
椅子に座って、持参した手紙を何度も読み直しました。
家でも、繰り返し読みましたので、直すところは見当たりませんでした。
治療を終えた患者さんが、診察室から出て来られた数分後、奥さんが受付へ来られました。
診察を終えた患者さんが呼ばれ、会計と次の予約をしていました。
私は、もう一度、手紙を読み直しました。
何度、読んでも同じなのですが、読まずにいられなかったのです。
受付前にいらした患者さんが、玄関へ向かいましたので、私は受付へ行きました。
「こんにちは。」
「こんにちは。」
「申し訳ありませんが、読んでいただけますか?」
「はい?」
笑顔の奥さまに、手紙を渡しました。
奥さまは、忙しそうでしたが、手紙を読んでくださいました。
私が待合室で座って見ていると、手紙を読み進むほど、奥さまの顔が険しくなったような気がします。
奥さまは、手紙を持って診察室へ行かれたようでした。
診察室のドアが開き、私の前にいらしていた患者さんが呼ばれました。
次は、私の番だと思います。
ドキドキしながら待ちました。
いつもは本棚にある本を読んで待ちますが、緊張しすぎて、活字が目に入らないため、椅子に座って待ちました。
壁に掛かっている、からくり時計を見ると、午後4時半になりましたが、まだ呼ばれませんでした。
診察が終わって、出て来られた患者さんもいました。
私の後に、来られた患者さんが、先に呼ばれて行きました。
私よりも、予約時間が先なのだと思います。
午後5時になり、からくり時計の人形が、出てきました。
童話に出てくるような、こびとの人形は、音楽と一緒にクルクルと回って、踊っていました。
後から来られた患者さんが呼ばれましたが、私は、まだ呼ばれませんでした。
待合室にいるのは、私だけです。
混んではいませんので、後回しにされているような気がしました。
午後5時30分になりました。
待合室には、仕事を終えて来られたと思われる女性2人と私の3人がいました。
3人もいることは珍しいので、診察が長引いているのでしょう。
午後4時からいますので、お手紙を渡したときの緊張感はなくなり、私は待ちくたびれていました。
診察室のドアが開きました。
「どうそ。」
奥さまが呼んでくださったので、診察室へ入りました。