先程は、指先の指紋を採りましたが、今度は、指全体の指紋を採りました。
用紙に、人差し指から小指までの4本の指をつけて、用紙から離すときに、指先を用紙につけるように指示されました。
「指先の指紋も採りますので、指を離すときに、指先に力を入れてください。」
20代後半の警察官から、にこやかに言われました。
手袋をされた若い警察官に手を握られながら……、ではなくて、用紙に左手4本の指をつけると、上からさするようにされて、指先をつけたまま手を持ち上げるようにされました。
小指の指先が、用紙からすぐに離れてしまって、指先の指紋が採れていないような気がしました。
20代後半の警察官が用紙を見て、うなずかれていましたので、よいのでしょう。
次に、親指も同じようにしましたが、こちらは簡単に採れました。
右手も同じようにしましたが、やはり小指の指先は、用紙からすぐに離れてしまいました。
指をそろえて採るのではなく、広げて、用紙から離す時に指を曲げるのならば、きれいに採れそうな気がしました。
これで終わりだと思いましたが、20代後半の警察官が、ご自分の手の平を見せながら言われました。
「次は、手の平の指紋を採ります。」
まだまだ、解放はされないようです。
手袋をされた警察官が、ベージュの板をさすって、私の左手の平に粉をつけました。
粉と書きましたが、ベージュですので、手についているかどうかもわかりませんし、じっくり自分の手を見る暇もありませんでした。
手袋をされた警察官に誘導されながら、用紙に手をつけると、警察官が私の甲をさすって、指紋がつくようにされました。
警察官は、私の手を取り用紙を20代後半の警察官に見せ、うなずかれたので、右手も同じようにしました。
「これで終わりです。手を洗えば取れますので。」
「はい。」
「これから仕事ですか?」
「いえ。休もうと思っております。」
とても疲れたので、仕事へ行く気分ではなくなりました。
「これで失礼いたします。しっかり戸締りをしてくださいね。」
「ありがとうございます。長い時間、お世話になりました。」
警察官二人をお見送りするのに、私もドアの外へ出て、頭を深く下げました。
「本当にありがとうございました。」
玄関内で、挨拶が終了したと思われたのでしょう。
20代後半の警察官は、とても嬉しそうに、敬礼をしてくださいました。
私は、警察官たちの姿が見えなくなるまで、お見送りしました。
警官に 敬礼された 返礼も 敬礼なのか やり方知らぬ
患者なら 黙って治療 受けるべき 歯科医に意見 考えられず