2018年1月30日、午後3時25分。
私は、走っていました。
時間通りに仕事が終わらず、待ち合わせ時刻に間に合いそうにありません。
走ると、体に振動が伝わり、歯が痛いので、なるべく上下に動かないようにしていますが、歯が痛いです。
雪道ですので、アスファルトより、地面は固くありませんが、あまり人が踏んでいない柔らかそうなところを選んで走りました。
普段、走ることはありませんので、息が上がります。
待ち合わせ場所の市役所へ着きました。
駅側の自動ドアへ向かうと、小柄で60代後半ではないかと思われるおかっぱの女性が立っていました。
首に青の紐がついた身分証明書をかけていますので、この方だと思いました。
頭を下げると、向こうも同じようにして、声をかけて来られました。
「〇〇さんですか?」
「はい。〇〇です。」
「私は、〇〇総合振興局社会福祉課、地域づくり委員会のUと申します。」
Uさんは、首から下げている身分証明書を私に見せるように、手で持ちました。
急いで走って来た私は、それを見る余裕はありませんでした。
「遅れて申し訳ありません。仕事が終わったのが3時25分でしたので、走って来たのですが、遅刻してしまいました。」
「いえいえ。こちらは、地域づくり委員会の……。」
Uさんが、ロビーの椅子に座っている女性の元へ案内してくださいました。
「〇〇です。遅くなって申し訳ありません。」
「◎△$♪×¥●&%#?!」
ポチャリした60代後半と思われる女性が、挨拶してくださいましたが、何を言っているのかわかりませんでした。
私は、聴覚障害があります。
お名前を言われたのだと思いました。
「よろしくお願いします。」
「◎△$♪×」
私はお二人に声をかけました。
「こちらでお話しますか?」
「どこか適当なところがございますか?」
「2階にも椅子とテーブルがありますが、暖かくはないと思います。」
Uさんが、一緒にいらした方に声をかけました。
「どうしましょうか? そちらへ移りますか?」
「◎△$♪×」
「じゃあ、そちらでお話しましょう。」
「はい。」
私たちは、ロビーの奥のテーブルに移動しました。