『しみ止めをつけます。どの歯がしみるのか教えてください。』
「この歯の前側と、こことここの裏側です。」
私は、前回と同じように、上前歯のしみる部分を指差しました。
「ここから、ここまでつけますね。」
「はい。お願いします。」
「椅子を倒します。」
「はい。」
椅子が倒されると、脱脂綿を口と歯の間に詰められました。
顔にタオルがかけられると、ライトがつきました。
いつでも口を開けられるように待っていると、アゴに手がかけられましたので、口を大きく開けました。
歯に、しみ止めが塗られました。
ライトが消えると、タオルも除けられました。
『少し、このままでお待ちください。』
「はい。」
しみ止めをつけた後で、しばらく待つのは、しみ止めが浸透するのを待っているのでしょうか。
勝手に私の歯を削った歯科では、つけた後、すぐに口をゆすぐように言われました。
しばらくして、水の出る機械で脱脂綿を濡らしてから、脱脂綿が取り除かれました。
「椅子を起こします。」
「はい。」
「口をゆすいでください。」
「はい。」
私が口をゆすいでいる間に、衛生士さんがいなくなりました。
もう、今日の治療は終わりましたので、エプロンを外してくれたら帰ろうと思い待っていると、先生が来られました。
「どうですか?」
「えっ?」
治療が終わっていることもあり、先生が来られるとは思っていませんでしたので、何を言われているのか理解できませんでした。
「詰め物が高かったり、違和感はあったりしませんか?」
「大丈夫です。とても上手にしていただけました。ありがとうございます。」
「そうですか。次回も、しみるようでしたら、しみ止めをつけます。」
「はい。よろしくお願いします。」
「お大事にしてください。」
「ありがとうございました。」
先生が去って行かれると、衛生士さんがエプロンを外してくださいました。
「待合室でお待ちください。」
「はい。ありがとうございました。」
「お大事になさってください。」
「はい。」
私は、診察室を出ました。
待合室で待っていると、受付の方が、私を見てうなずきました。
受付へ行くと、メモを見せられました。
『3月8日、16:30』
「はい。お願いします。」
「お大事になさってください。」
「はい。ありがとうございます。」
診察券を受け取り、歯科医院を出ました。