「しみ止めをつけます。」
院長先生が、そう言うと、30代の歯科衛生士さんに私の歯を指差しながら、指示をしていました。
衛生士さんは、何度もうなずいています。
衛生士さんは院長先生が去ると、診察台の上に、目薬みたいな白い容器を置きました。
しみ止めのお薬なのでしょう。
銀色の四角い板に、しみ止めの薬を出して、白色のスティック状の物で軽く円を描くようにしています。
衛生士さんが、こちらを向きました。
「椅子を倒します。」
「はい。」
「失礼します。」
椅子が倒され、衛生士さんは、私の上唇と歯茎の間に、円筒形の綿を詰めました。
「これから、しみ止めをつけます。」
「はい。お願いします。」
衛生士さんが、ライトを私の口に当たるように調整しました。
スティックで、私の歯にしみ止めをつけて、くださいました。
丹念にしてくださっているので、真剣な表情です。
「そのまま、しばらくお待ちください。」
「はい。」
衛生士さんの言葉に、私は軽くうなずきました。