「倒します。」
「はい。」
院長先生は、私が座っている椅子の背もたれを軽くポンと触れながら、声をかけました。
椅子の背もたれが倒されると、座っているというよりも、寝た状態になります。
奥さまは、ライトを私の口に向けました。
「噛んでください」
院長先生から、ピンセットにはさんだ赤い紙を噛むように言われました。
私は、赤い紙を噛みました。
「もう一度」
院長先生は、私の目の前で親指と他の指先を何度もつけるようにして、噛むように指示されました。
私は、院長先生の指先がつくたびに、噛みました。
「いいです」
先生は、指先を離しましたので、私は口を大きく開けました。
先生が奥さんに、何か指示をしたようです。
奥さんが器具を差し入れました。
院長先生も、私の口の中に機械を差しれました。
え?
ライトが消されました。
「椅子を起こします。」
「お口をゆすいでください。」
内側に生えている上の前歯の表面と、その前の2本の歯の根元、合計3本を削られてしました。