朝8時前に、メールがありました。
また、会社の一斉メールだと思いました。
見ると、旭川の姪からでした。
『こちらは、旭川にしては珍しい揺れを感じました。
電気は、昨日の夜普及しました。
とりあえず、通常通りの生活が出来ています。
そちらは、余震、大丈夫ですか?』
携帯の電池量が1しかありませんので、簡単に返信しました。
『大丈夫。停電中…』
旭川は6日に電気が来たのならば、こちらも、もうすぐ停電が解消されるはずです。
そう思うと、気分が軽くなりました。
電気の入っていない冷蔵庫の冷凍室から、解凍されているシャケ3切れを取り出して、ガスコンロで焼き、ジャガイモの味噌汁を作って、食べました。
ご飯は、ありませんが、それでお腹を満たしました。
ガスの火で焼いたシャケは、美味しかったです。
布巾を洗った後、下着とTシャツとショートパンツも手で洗いました。
洗うのはよいのですが、絞るのは大変です。
化繊の服は、絞っても滴がポタポタ落ちますので、ハンガーにかけてから、流しの上の棚に、ひっかけて干しました。
ブラは形がくずれますので、絞らずにハンガーにかけて、化繊の服の隣に干しました。
もうすぐ、電気が復旧するとは思いましたが、万が一のために洗いました。
窓から外を見ると、同じ棟の80代女性がいました。
私は慌てて外へ出ると、女性に声をかけました。
「おはようございます。」
「おはようございます。」
「お食事は、されていますか?」
「うん。あるものを食べているよ。」
「非常時ですので、畑にある物を食べても構いませんので、勝手に取ってくださいね。あまり、ありませんけれども。」
「いいの? どれ貰っていいの?」
「何か食べたい物がありますか?」
「イモ、もう掘ってもいいんじゃない。」
「イモですね。そろそろ掘らないといけないなぁと思いながら、掘ろうとすると雨が降りましたので、そのままにしてありました。」
女性が、イモを掘り始めました。
ジャガイモの茎を引っ張って、その部分の土を掘ると、小さなジャガイモが出てきました。
私は、Tシャツとキュロットスカートに、スニーカー姿でした。
「この格好では、何なので着替えてきます。」
部屋に戻って、長そでシャツにジーンズを履いて帽子を被り、袋と手袋、長靴を持って部屋を出ました。
物置から、大小2個のスコップを出して、畑へ向かいました。
一緒に、イモ掘りをしようと思っていたのですが、私が畑へ着く前に、女性は、何故か部屋へ戻ってしまいました。
畑には、女性が掘ったと思われるジャガイモがありました。
まだ、掘っていないところがありますので、スコップを使いながら、イモ掘りをしました。
大体、掘ったところで、女性が窓を開けて、こちらを見ていることに気がつきました。
私は、ビニール袋に、中くらいのジャガイモを20個入れて、女性に渡しました。
「小さいのばかりで、申し訳ありませんが、貰ってください。」
「いいの? こんなに貰ったらなくなってしまうよ。」
「まだありますから、大丈夫です。大きいのは、畑を借りていますので、Sさんにあげます。」
「Sさん?」
「はい。」
「ありがとう。」
「どういたしまして。」
私がイモ掘りに戻ると、女性は窓を閉めました。
全て掘ってから、もう一度、大きなスコップで掘ってみると、イモが出てくることもありました。
丹念にイモを掘り、土を落として、袋にいれました。
部屋に戻ってから、玄関に新聞紙を広げて、イモを干しました。
小指ほどのもありますが、大きなのを10個選んで袋に入れました。
メモと一緒に、Sさんのドアノブにかけてきました。
『〇号室の〇〇です。
お食事は、されていますか?
停電は、困りますね。
お借りしていた畑で採れたジャガイモです。
少なくて、申し訳ありませんが、貰ってください。』
残ったジャガイモは、丸一日、干してから、紙袋に入れました。
安売りならば、一袋150円くらいで、購入できそうな量しか残りませんでした。
種イモ代わりに、スーパーで購入したのは、500円くらいだと思います。
収穫したジャガイモは、それよりも大分小さいですので、600円くらいで購入できると思います。
楽しめましたので、収穫は二の次です。
イモ掘りは 宝さがしと 似ているね たどり着くまで ワクワクするよ
我が街の ヤブ歯科医師は 犯罪者 勝手に削り 傷害負わす
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