はははのはのおはなし

私の歯を勝手に削ったのは、逮捕されて無罪になった歯科医ではありませんが、無罪になったニュース記事を引用したところ刑事告訴され、刑事さんから取り調べを受けました。その記事は地方法務局を通じて、1年以上前に見られないようにされておりますが、その歯科医は私に対して、非常に強い処罰意志と逮捕を望んでおられるとのことです。

勝手に歯を削られたのは、レーザー治療をしたから。

仕事が終わって、歯科へ向かいました。

歯科へ行くのは、本当に怖くて嫌でしたが、今回で終わりだと思うと嬉しいです。

歯科の建物が見えると、やはり行きたくないと思いました。

 

受付で診察券と保険証、それから作成したお手紙を渡しました。

待合室のテレビを見ました。

決められた時間内に、美味しそうな料理が出来上がりました。

放送されている内容がわかるのは、気持ちに余裕があるからでしょうか?

 

診察室へ続くドアから、衛生士さんが私に合図してくださいました。

私は、うなずいて、衛生士さんに挨拶をしてから、奥の診察室へ向かいました。

一番奥の診察室は、個室になっています。

 

診察の椅子に座り、準備してくださった紙コップで口をゆすぎました。

そのまま待っていると、先生が来られました。

 

「こんにちは。よろしくお願いします。

「こんにちは。どうですか?」

「まだ、しみますので、しみ止めをお願いします。」

「まだ、しみますか。」

 

先生は、私が持ってきたお手紙を読みました。

 

「今日で、最後ですか?」

「はい。お世話になりました。」

「そうですか……。しみ止めを塗るのですね。」

「はい。お願いします。」

「最後なら、レーザー治療も試してみませんか?」

「はい。効くでしょうか?」

「してみなければわかりません。1回では効きませんので、何回か続ける必要があります。」

「1回では、効かないのですね。」

「最後ですから、レーザー治療をしてみましょう。」

「はい。お願いします。」

「上の前歯ですね。」

「はい。ここからここまでです。」

「わかりました。」

 

私は、しみる歯を指で示しました。

衛生士さんが、縦長の機械を持って来られました。

 

「椅子を倒します。」

「はい。」

 

先生と衛生士さんが、眼鏡タイプのゴーグルをかけました。

私の目に、タオルがかけられました。

てっきり、私もゴーグルで目を保護するとばかり思っていました。

レーザーの光が目に入ったら、大変なことになるのではないかと心配になりました。

 

ライトがつけられたようで、目の前が明るくなりました。

そして、私のアゴに軽く手がかけられましたので、口を開けました。

治療中、いつもは目をつぶらないのですが、念のためにつぶりました。

 

ほとんど、何も感じないのですが、何となく温かさを感じました。

アゴの下を押されるようにされたので、口を閉じました。

少し経ってから、アゴを引くようにされたため、口を開けました。

 

口をずっと開けていると、疲れますので、休ませてくださったのです。

こういうところは、勝手に私の歯を削った歯科では、一切ありませんでしたので、一息つけます。

 

上唇をめくられるようにされました。

表側の歯茎に、レーザーを当てているのだと思います。

場所を移動して、何回か繰り返されました。

 

アゴの下を押すようにされたため、口を閉じました。

目にかけられていたタオルが、取り除けられましたので、目を開けました。

先生が言いました。

 

「レーザー治療は、終わりました。何回か続けなくては、効きませんが、今回で治療は終了です。」

「はい。ありがとうございました。」

 

寝たような状態でしたので、私は起き上がって、お礼を言いました。

 

「後は、しみ止めをつけます。」

「はい。」

「では。」

「はい。ありがとうございます。」

 

私は体をひねるようにして、先生の背中を見送りました。