はははのはのおはなし

私の歯を勝手に削ったのは、逮捕されて無罪になった歯科医ではありませんが、無罪になったニュース記事を引用したところ刑事告訴され、刑事さんから取り調べを受けました。その記事は地方法務局を通じて、1年以上前に見られないようにされておりますが、その歯科医は私に対して、非常に強い処罰意志と逮捕を望んでおられるとのことです。

勝手に歯を削られたのは、緊張しまくったから。

名前を呼ばれたので、診察室へ入りました。

朝から落ち着かなくて、歯科へ行くのだと思うだけでドキドキして、とても緊張していましたが、診察の椅子に座ると、更に緊張しました。

できれば、このまま帰りたいです。

 

「こんにちは。よろしくお願いします。」

「こんにちは。」

 

先生がいらっしゃいましたので、挨拶しました。

緊張と言いますか、怖くて、手が震えました。

マスクをしておられましたが、歯科衛生士さんが、私の手紙を見せて説明されると、マスクを外してくださいました。

多分、私が聴覚障害者だということを先生に、伝えてくださったのだと思います。

先生が、手紙を読まれている間も、怖くて怖くて、どうしようかと思いました。

 

「診察しないなんてことはありませんよ。診ますからね。安心してください。歯がしみるのですね。どの歯がしみるのですか?」

「この歯と、こことここです。」

 

私は、しみる歯を指差しました。

 

「ここですね。レントゲンで、歯の状態を確認しますね。」

「はい。」

「全体と、この歯の拡大写真を撮ります。」

 

この歯というのは、内側に生えている歯のことです。

衛生士さんに案内されて、レントゲン室へ行きました。

撮影後、診察台の椅子に座って待っていると、目の前の診察台のテレビに、私のレントゲン写真が表示されました。

先生がいらして、説明してくださいました。

 

「画面のレントゲン写真を見てくださいますか。」

「レントゲンを見てしまうと、先生のお話がわかりません。私は、聴覚障害者なのです。」

「あぁ、そうですか。では、こちらを向いて、レントゲンを見ながら、ご説明します。」

「はい。」

「白く映っているのが、治療して被せ物や詰め物をした部分です。歯の中心の黒い部分が神経になります。炎症もないようですし、そのままで大丈夫です。」

「神経を抜かなくても、よいのですか?」

「抜かなくても、大丈夫です。」

「よかった。とても、しみるので、抜かないとならないのかと思いました。」

「どのような感じですか?」

「削られた歯が空気にもしみて、話をするもの嫌な感じです。削られた直後は、舌で歯に触れることもできませんでしたが、しみ止めが効いたようで、舌で歯に触れることができるようになりました。」

「神経が、縮んだのかもしれません。」

「神経は、縮むのですか?」

「はい。どの歯が一番、しみますか?」

「今は、この歯です。」

 

私は、上の前歯2番目の歯を指しました。

この歯は、内側に生えています。

先生は、指示棒で画面を指し、口話と筆談で説明してくださいました。

先生が、マウスを使って、拡大写真を画面に表示させました。

 

「この歯ですね。歯を抜くのは、怖いですか?」

「歯は、抜きません!」

 

虫歯でもない歯をどうして抜こうとするのでしょうか?

恐怖と疑問を感じました。

 

「そうですか。マウスピースを作成したとありますが、今、お持ちですか?」

「いいえ、私の手元にはありません。削られて、舌で歯に触れることもできなくなりなりましたので、使えないと思いました。それで、私は重度障害者なので、医療費は初診料のみなのですが、見本として使えそうでしたら、使ってくださいと言いましたので、実物も見ておりません。」

「そうですか……。噛みしめに、マウスピースね。」

 

先生は、何か考えておられるようでした。