院長先生に気に入られたのは、理由があります。
歯科へ行って、普通、歯以外の話はしないと思いますが、私は関係ない話をします。
覚えているのは、まりもっこりドリンクを差し入れしたことです。
まりもっこりとは、北海道阿寒湖の『まりも』と、『もっこり』をひっかけてキャラクターにしたもので、股間がもっこりしています。
そのドリンクですから、部分的によく効きそうです。
院長先生に、ますます元気になっていただこうと思い、シャレで差し入れさせていただきました。
他のスタッフの方には、ペットボトルのジュースとお茶にしました。
差し入れ後の診察の時に、院長先生とお話をしました。
「ドリンクをありがとうございました」
「飲んでくださいましたか! どうでしたか?」
「美味しくなかったです。」
「味はともかく、お元気になられたのではないかと思いまして。」
「元気には、なりませんでした。」
「それは残念です。1本では効き目が、弱かったのかもしれません。」
「あんなのは、効かない。」
「効くと思えば、効きます! 品質表示にマカ、マムシ、スッポン、トナカイとかが入っていて、とても良く効きそうですよね。」
「効かない。」
「疑って飲むから効かないのです。よく効くと思えば、効きます。」
「効かない。」
「信じるものは、救われるのです。」
「効きませんでした。」
「信じてくだされば、元気になったのに。」
側にいた、20代の歯科衛生士さんが、顔を真っ赤にしていました。