洗面所には、使い捨ての歯ブラシと小袋入りの歯磨き粉、小さ目の紙コップが置いてありました。
歯ブラシは、どれもカラフルで、私はピンクを手に取りました。
ピンクは、濃い目の色でした。
歯ブラシを袋から取り出して、水色の歯磨き粉を少しつけました。
歯磨き粉は多すぎて、全部使ってしまうと、口の中が泡だらけになってしまいそうです。
紙コップには、歯ブラシを持ったくまモンが印刷されていました。
くまモンは、赤いホッペがかわいい黒くまで、熊本県のゆるキャラです。
どなたの好みか知りませんが、くまモンが好きなのでしょう。
それは奥さまかな? と思いました。
私は、くまモンの紙コップに水を入れて、歯ブラシをコップの中に入れて濡らしてから、歯磨き粉を3分の1くらいつけて、歯を磨きました。
歯磨き粉は、さわやかなミント味でした。
お昼を食べたあとに、歯を磨いていますので、食べかすはついていないとは思いましたが、鏡を見ながら丁寧に磨きました。
歯を磨きながら、受付を見ると、奥さんが、何かを探しているようでした。
何となく、私のカルテを探しているような気がしました。
歯を磨き終えた私は、もう一度、鏡で磨き残しがないかどうか確認しました。
気が引けましたが、少ししか使っていない歯磨き粉と紙コップを捨ててから、奥さんに声をかけました
「使用させていただいた歯ブラシは、1回で捨てるのはもったいないので、貰って帰ります。掃除に使わせていただきますね」
笑顔でうなずいた奥さんは、探し物が見つかったようで、診察室へ行かれました。